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「懲戒」は“秩序と納得感”を支える対応ルール──曖昧さ・属人化・未整備からの脱却(2025.10.28)

社労士とお客様をつなぐテーマを発信してまいります。
今回は「制度の気づきシリーズ」の第3回として、就業規則に記載されている「懲戒」について取り上げます。

🔹懲戒制度は“使いづらい”ままでいいのか

「遅刻が多い社員にどう対応すべきか分からない」
「ハラスメントがあったが、どこまでが懲戒対象なのか曖昧」
「就業規則には書いてあるけれど、実際は〇〇部長が判断している」

──そんな場面に出会ったことはありませんか?
懲戒制度は、整備されているようで、実は“使い方が分からない”ことが多い領域です。
その結果、制度があっても使えない・納得できない・信頼されないという“制度疲労”が起こります。

🔹制度と実態のズレが起きやすい領域

懲戒規定は、就業規則の中でも特に“整備されているようで、されていない”領域です。
たとえば:

  • 抽象的な文言:「企業秩序を乱した場合」など、判断が分かれる表現
  • 属人的な運用:「〇〇が判断する」「前例がない」など、恣意的な対応
  • 新しいリスクへの未対応:SNS投稿、副業、リモート勤務中の行動など

こうした状態では、制度が現場に根付かず、納得感や安心感を損なう要因になります。

🔹懲戒制度の本質は「秩序維持」

懲戒制度の目的は、企業秩序を維持することです。
ルールが明文化され、適切に運用されることで、従業員の行動に一貫性が生まれ、職場環境が健全に保たれます。
その結果として、職場に安心感や信頼が生まれる──それが制度整備の本質的な価値です。

🔹社労士としてできること

私たち社労士ができるのは、「懲戒を使いやすくする」ことではありません。
**「懲戒が“納得できる対応ルール”として機能するよう、制度と実態を整えること」**です。

  • 懲戒事由の具体化と見直し
  • 判断基準や手続きの明文化
  • 実態とのギャップの洗い出しと改善提案

制度は“ある”だけでは機能しません。
“使える・守れる・納得できる”状態に整えることが、制度整備の本質だと考えています。

🔹おわりに

懲戒制度は、企業秩序を守るための対応ルールです。
だからこそ、曖昧なまま・属人的なままにしておくことが、最大のリスクになります。
制度と実態の整合性を整えることが、職場の納得感と安心感につながる第一歩です。

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